目次
台風の基礎知識
熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びますが、北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。
台風は上空の風に流されて動き、また地球の自転の影響で北へ向かう性質を持っています。
そのため、通常東風が吹いている緯度の低い地域では台風は西へ流されながら次第に北上し、上空で強い西風(偏西風)が吹いている中・高緯度の地域に移動すると、台風は速い速度で北東へ進みます。
台風の風の強さとその影響
台風は、地表面に近いほど周囲の空気が台風の中心に向かって反時計回りに流れ込みます。
中心付近の気圧が低いほど空気が流れ込みやすくなり、流れ込む空気の速さも速くなるため風速も強くなります。
画像引用元:気象庁「風の強さと吹き方」より
昭和の3大台風とは?
室戸台風
1934(昭和9)年9月21日、高知県室戸岬沖に上陸。
室戸岬で911.6hPaを記録し、最大瞬間風速60m/s、死者2702名。
枕崎台風
1945(昭和20)年9月17日、鹿児島県枕崎付近に上陸。
各地で洪水が発生、死者2473名。
伊勢湾台風
1959(昭和34)年9月26日、和歌山県潮岬付近に上陸。
名古屋市から四日市にかけて沿岸部に4m以上の高潮が発生、死者4697名。
台風の雨と風の特徴
台風は強い風とともに強い雨をもたらします。
台風にともなう大雨の特徴
台風は積乱雲が集まったもので、雨を長時間にわたって広い範囲で降らせます。
台風は垂直に発達した積乱雲が「台風の眼」の周りを壁のように取り巻いていて、そこでは猛烈な暴風雨となります。
この台風の眼の壁のすぐ外は濃密な積乱雲が占めており、激しい雨が連続的に降っています。
さらに外側の200~600kmのところには帯状の降雨帯があり、断続的に激しい雨が降ったり、ときには竜巻が発生することもあります。
これらの降雨帯は台風の周りに渦を巻くようにして存在しています。
また、日本付近に前線が停滞していると、台風から流れ込む暖かく湿った空気が前線の活動を活発化させ大雨になることがあります。
雨による大きな被害をもたらした台風の多くは、この前線が影響しています。
平成16年10月19日に沖縄本島から奄美諸島沿いに進んだ台風は、20日に大型で強い勢力を保ったまま高知県に上陸しました。
台風はその後四国地方、近畿地方、東海地方を通過し、21日に関東地方で温帯低気圧に変わりました。
台風と前線の影響による期間降水量は、四国地方と大分県で500mmを超えたほか、近畿北部、東海地方、甲信地方で300mmを超え、広い範囲で大雨となりました。
このため、兵庫県を流れる円山川、出石川と京都府を流れる由良川がはん濫して家屋の浸水、耕地の冠水が多く発生したほか、京都府、岡山県、香川県、愛媛県など西日本を中心にがけ崩れや土石流が発生しました。
また、高知県では高波により堤防が損壊し、倒壊した住宅がありました。
これらにより、全国で死者・行方不明者98人、負傷者721人、住家の損壊21,350棟、住家の浸水54,347棟などの甚大な被害となりました。
引用元:気象庁「台風による災害の例」より
台風による大雨の影響について
台風がもたらす雨は短期間(数時間から数日)のうちに大量の雨が広い範囲に降るため、河川が増水したり堤防が決壊したりして水害(浸水や洪水)が起こることがあります。
また、雨により山やがけが崩れたり、土石流の発生などの土砂災害も起こります。
雨による土砂災害の犠牲者が自然災害による死者数(地震・津波を除く)の中で大きな割合を占めるようになってきました。
近年、宅地開発は都市郊外の丘陵地や急傾斜地を利用することが多く、宅地造成により新たながけが形成されることが土砂災害による被害を大きくしています。
台風にともなう強風の特徴
台風は巨大な空気の渦巻きでできていて、地上付近では上から見て反時計回りに強い風が吹き込んでいます。
そのため、進行方向に向かって台風の右側では、台風自身の風と台風を移動させる周りの風が同じ方向に吹くため風が強くなります。
逆に台風の左側では台風自身の風が逆になるので、右の半円に比べると風速が若干弱くなります。
平成16年9月7日午前に長崎県に上陸した台風は、九州北部を縦断した後に加速しながら日本海を北東に進み、暴風域を伴ったまま8日朝には北海道の西海上を北上しました。
この台風により、全国的に20m/s以上の非常に強い風が吹き、北海道では半数を超える気象官署で最大瞬間風速の極値を更新しました。
この台風による被害は、西日本、北海道を中心に死者・行方不明者46人、負傷者1,399人、住家の損壊64,993棟、住家の浸水21,086棟に達しました。また、西日本では船舶の乗揚げ事故が相次いで発生しました。
死者の多くは強風によるもので、台風の接近中に屋根に上っていて飛ばされて転落したり、飛んできた瓦が当たったりするなど屋外での作業中に被害に遭う方が続出しました。
もっと早く台風に対する備えを完了し、強風時には屋外へ出ないでいれば被害に遭わなかったのにと悔やまれます。
引用元:気象庁「台風による災害の例」より
台風被害から身を守るためには
年々その被害を大きくする台風ですが、台風被害から身を守るためには進路予想などの情報収集を早急に行うと言うことが一番です。
台風被害を減少させるための情報収集
まず第一に気象庁のホームページは欠かせません。
実際にTwitterアカウントをフォローすると以下のようなツイートを見ることができます。
風雨が強まっています。台風17号は夜遅くにかけて関東甲信地方を通過する見込みで、渋谷区でもこれから風雨のピークを迎えます。区内鉄道は東急各線が運転見合せ、JR、京王、小田急各線が一部運休となるなど、ダイヤが乱れています。最新の気象・交通情報を確認し、無理せず安全に行動しましょう。
— 渋谷区 (@city_shibuya) 2012年9月30日
また、内閣府防災Twitterアカウントでも災害情報などをフォローすることができます
【台風情報】非常に強い台風第16号は、今夜遅くから明日未明にかけて九州南部に上陸する見込みです。台風の進路に当たる地域の方々は身の安全を確保し、暴風雨に厳重に警戒してください。台風から離れた地域でも大雨のおそれがあります。土砂災害、河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。
— 内閣府防災 (@CAO_BOUSAI) 2016年9月19日
このように、台風の被害に遭わないためには、まずは迅速に情報収集をすることが求められます。
そして、台風被害に遭ってしまったときのことを考えて、家でできる備えもしっかりとしておきましょう。